東大をはじめとする超難関大学の入試では、数学が合否を大きく左右します。数学は他の教科よりも「ある一線を超える」ことが難しく、またハイレベルな受験生であっても、問題によって出来・不出来のバラツキが大きくなるからです。そこでこのブログでは、これら難関大の入試問題をできるだけ細かく解くことで、超えられない「ある一線」がどこにあるのか(恐らく人それぞれ違うと思います)、その目安として読んで頂ければと思います。

2008年8月6日水曜日

では、今度は平成18年度の同じく第一問の、とりあえず(1)を解くことにします。問題は東大のHPを参照して下さい。うーん、ざっと見た感じではよくあるベクトルの問題に見えますね。ベクトルの問題の場合、ベクトルの状態で四則演算して答えまで到達できれば簡単なんですが、どうしても駄目そうな場合には、x成分とy成分に分解し、カリカリ面倒くさい式を計算することになります。この問題はどうでしょう?
とりあえず、P1とP2とP3の関係式は問題文から以下のようになります。

これは問題文そのままなので問題ないですね。さて、「P1とP2が曲線xy=1上の点」という部分を数式で表現するにはどうしたらいいかというと・・・手っ取り早いのが、xとyの成分に分解して別々に計算する方法になります。という訳で、この問題は面倒くさい計算になりそうです。
P1の座標は、xy=1上の点であることから、例えば変数を用いて(, )と書けます。P2の座標も同様に、変数を用いて(, )などと書けます。で、P3の座標に関する条件は問題文からはよく分からないので、とりあえず(, )と置くことにします。で、これらをさっきの式に入れると、

という式になります。この式のx成分、y成分を別々に整理すると、得体の知れなかった(, )は、


と、で表せることになります。で、問題に戻ると、P3がxy=1上に無いことを示せ、となっています。要は、この(, )をxy=1に代入し、矛盾が出ればOKとなります。ガリガリと計算してみましょう。


と、合っているのかよく分からない式がでます。ま、とにかくこれは1じゃ無いから証明終わり。
・・・ではまだ済まされません。よーく考えてみると、この式に適当なの組を放り込んだ時に1になったら、P3はP1とP2の条件によってはxy=1上に存在することになっちゃいます。そこで、「のどんな数字の組み合わせでもこの式は1にはならない」ことを示さないといけません。で、どうやって示すかというと、とりあえずこの式=1 という式を立てます。

そしてこれを解くと1になるの組み合わせが求まります。よくあるパターンとしては、その答えが虚数になれば、「事実上P3がxy=1になるようなP1、P2の組み合わせは無い」と言い切って終わることができます。
ところが、ここで問題が一つ。この式、変数が二つあるんですよね。一般的には、式1つに変数2つだと解けません。第一問(1)の癖に難問です。 で、どうすればいいかですが、この「解けません」という表現にはちょっと語弊があって、「計算不可能」では無く、「解が無数に存在するので1つに特定できません」という表現が正しいです。よって、一つに特定するのではなく、の関係式で上式を満たすものを求め、その関係性が変(恐らく虚数を含む関係式)ということが示せればOKとなります。
具体的にどうするか、ですが、2変数の関係を1変数に置きなおして解き、改めての関係を示す、という方法になります。例えば、などと置き、について上式を解いてからの関係を示す、などです。このの取り方が問題ですが、幸い、今回のケースではとおけば、上式をだけで簡単に表せます。

両辺にを掛けて整理すると二次方程式が求まります。

で、これを解くと・・・とやっぱり虚数になります。従って、の関係が虚数になる=実数上にこの関係を満たす解が存在しないことになり、P3はxy=1上に存在しない、ということが言えます。

注:式の細かいところにはあまり注意を払っていないので、正確な式・答えは問題集などでご確認下さい。

今回は、問題文に従って式の変形をするところまでは簡単なのですが、出てきたよく分からない式をどう評価すればxy=1上に無いことが言えるのか、という部分が解けるかがポイントでした。1式2変数という方程式の扱い方などは、「解の存在条件を示せ」関連の問題を多数解くことで自然と身につく…かもしれません。

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